雪の朝の岸辺のカワセミ(494) [エッセイ風]

風がやんで、速度を落とした粉雪がまっすぐに落ちてくる岸辺に、くちばしの黒いすばしこい、いつものオスのカワセミがちょこんといた。
どこからあの羽のブルーがにじみ出てくるのか、声さえ立てられないくらい神秘的だ。
流れの緩やかな場所で魚を狙って川にナイフのように滑り込み、すぐに川面に浮かんで岸にもどった時、水の上に、円形とそこから出てきた線の波紋の軌跡ができた。
命をかけた孤独な仕事をしているのに、打ち枯らしたカラスのような悲壮感はなく、けなげでかわいい。
そのうちに流れに乗って、鴨が4羽、白鷺が1羽カワセミのいる岸のそばにやって来た。
鴨はバシャバシャと浅瀬の水をかき分け、つられた白鷺も心なしか水を蹴立てている。
するとカワセミもそこに混ざって、皆のまん中へ逆さに飛び込んだのだった。
エネルギー交感のようなこんなこともあるのだ。
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