宮沢賢治の童話より  よだかの弟のカワセミ [エッセイ風]

宮沢賢治の童話に「よだかの星」と言うのがある。
「よだかは、実にみにくい鳥です」から始まる全文を暗記していた時もあったが、今は暗唱がからっきしダメになってしまった。
物語の初めのころに「ところが夜だかは、ほんとうは鷹の兄弟でも親類でもありませんでした。かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥のなかの宝石のような蜂すずめの兄さんでした。蜂すずめは花の蜜をたべ、かわせみはお魚を食べ、夜だかは羽虫をとってたべるのでした」
この童話には、生きものを捕獲して食べなければ命をつなげない苦しみや悲しみが文学的にひたむきに掘り下げて書かれている。
今は飽食の時代だが、宗教関係の炊き出しを受けなければ生きていけない人たちもいる。
どのように時代が変わり、言葉使いが変わっても変わらない共通の芯が、あふれる感情や思考の裏にある。
ここの所を忘れないで、ものを食べたいと思ってきたが、忘れていることの方が多くなった。
ものを食べると思い出したように時々涙が流れるのは、食欲が満たされてほっとしただけではないようだ。

「よだかの星」のなかの(よだか・夜だか)のひらがなと漢字使用は本文のまま。
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