賢治  心象童話「インドラの網」 [童話]

<インドラの網(あみ)>とは
華厳経で、「帝釈天」(インドの神)の宮殿にかけられた巨大な球状の網のことをインドラの網と言っている。
網の結び目には、水晶の宝珠が縫い込まれており、全体が宇宙そのものを現わしているとされている。
宝珠のひとつひとつに他のすべての宝珠が映っているので、ひとつの宝珠に宇宙のすべてが収まっているとも言える。


インドラのスペクトル製の網 (イメージ)
インドラの網.jpg
上図http://www6.ocn.ne.jp/%7Ekishi123/page053.html より



<インドラの網の登場人物>
私(青木晃)は、于闐(こうたん)大寺を沙(すな)の中から発掘した考古学者だ。
発掘された壁画の中のガンダーラ系統の天の子供らと、インドラの網を仰ぎ見ることができた。



<インドラの網>に出てくる太陽について書かれている長文

太陽・・・・燃え立った白金のそら、湖の向ふ鶯いろの原のはてから熔(と)けたやうなもの、なまめかしいもの、古びた黄金(きん)、反射炉の中の朱、一きれの光るものが現はれました。~略~ それは太陽でした。
厳かにそのあやしい円い熔けたやうなからだをゆすり間もなく正しく空に昇った天の世界の太陽でした。
光は針や束になってそゝぎそこらいちめんかちかち鳴りました。
(インドラの網より)


<風の天鼓>
「ごらん、そら、風の天鼓」~略~
誰も敲(たた)かないのにちからいっぱい鳴っている、百千のその天鼓は鳴ってゐながらそれで少しも鳴ってゐなかったのです。(インドラの網より)

<クウクウ鳴く蒼孔雀>
「ごらん、蒼孔雀を」~略~
そのクジャクはたしかに空には居りました。けれども少しも見えなかったのです。
たしかに鳴いて居りました。けれども少しも聞こえなかったのです。
(インドラの網より)

★鳴っているのに鳴っていない天鼓。
居るのに見えない蒼孔雀、鳴いているのに聞こえない蒼孔雀の声。
天鼓や蒼孔雀については、賢治の心象4次元の世界と3次元の世界(私たちがいる世界)との中間点(接点)の行き来(交流)で書かれたものではないだろうか。

★ひところは宝石の研磨や合成を職業として生計を立てようとした宮澤賢治の童話には、 宝石が30種類を越す程も出てくる。
ブログ主は、その宝石を手に持ったこともなく、今でも写真で見て知っているだけだ。
宝石文学と言われる「インドラの網」や「十力の金剛石」の中に出てくる宝石をイメージするのがとても苦手ではあるけれど、そのままにしておくのはもったいないので辞書や「宮澤賢治 宝石の図誌」を片手に読み重ねることにした。

~~~つづく~~~


柴犬カンチの足跡日記
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