覚書 父方の一族の衰退 [覚書]

<日本中の山村には良くあることかも知れない>
やがては藪におおわれてゆく家々


廃屋1.jpg

一人暮らしの九州のいとこのNちゃん(56歳・男性)が、今年の5月の終わりに亡くなった。
独身のNちゃんは、山また山の、またその山奥の一軒家に住んでいて、午前中に田植えの準備のために田に出て、帰宅してビールを飲みそのまま倒れ、4日後に職場や近所の人に発見された。
ずっと高血圧だったけれど、普段の食事は山を下って買って食べることが多く、お正月で店が休みになる時は、雪が降ったりすると、食べるものがカップラーメンになるらしかった。
Nちゃんは、お酒が大好きで部屋には酒瓶やビールの空き缶がごろごろしていた。
その昔、父の実家の土地に、大名の命令で他の土地から移ってきた家来が庄屋になり、庄屋の家が参勤交代のための宿になっていた。
やがて庄屋の分家ができ、そこが私の父の実家だった。
12人も子供が生まれたが父は長男だった。
本来ならば、私の父が家を継ぐはずだったのだが、体が弱く、母にも農業は無理だったので、二男の叔父が家を継ぐことになり、その長男がNちゃんだった。
実家の一人息子のNちゃんが亡くなったので、実家にはだれも住む者がいなくなり、33もある畑や田や山々が残された。
できることとは思わないが、Nちゃんにこの世に戻って来てほしい。可哀そうでたまらない。
Nちゃんの姉や妹たちもあきらめきれない毎日を送っている。
私の兄が亡くなり、私が子供のころ過ごして遊んだ父の実家にはもうほとんど行くことはないだろう。
豊かだった水は枯れ水車もないし、神社にも柵がしてあるし、隣近所にも空き家が多い。

廃屋2.jpg

7月の26日に山奥の実家でNちゃんの初盆があったので、結婚しているNちゃんの姉や妹やそのつれあいや子供たちが集まった。
草ぼうぼうの庭や畑、跡かたもない井戸や崩れかけた小屋、雨漏りがする部屋そして集まった人々からは哀しみや怒りや寂しさが煙のように漂っていた。
早々においとました私には、そのことがいつまでも影を落している。
もう肉体を持っていない肉親や親戚縁者の人たちのことを考え始めると、息が苦しくなる。


★夢まくらに立つ
5月29日の明け方、父が夢に出てきて実家の部屋で横たわっている人(Nちゃん)を指差した。
倒れている人は2人?いるような気がしたのだが。良く分からない。
その日の午前中に叔母から電話をもらい、Nちゃんが亡くなっていたことを知った。




柴犬カンチの足跡日記 カンコママのおみせは、ほんわかとあたたかい
http://blog.livedoor.jp/kanchi_m/

nice!(254) 
共通テーマ:地域

nice! 254

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。