同級生名簿の名前が墓碑銘になる [覚書]

父方の故郷の中学の同級会の世話役(会長)をしているH君から久しぶりに電話をもらった。
来年の同級会の名簿を作っていて、表紙がさびしいので、私に絵を描いてくれという。
とてもじゃないけれどできない相談です!
私が中学の時に描いた水彩画でいいのなら、コピーして送るということになった。
運動場の上の丘から町を見下ろし、赤い壁面のある映画館を中心に、家々や山の木々を細かく描いた絵だ。
はるか遠い過去の時間にいた中学生の、遠近法もなく家の寸法もゆがんだ技術的には稚拙な絵だが、客観的に見ると色彩にその時の中学生にしか出せないみずみずしいものがある。
「同級会名簿の名前が墓碑銘になるかもしれない」とH君は言った。
シベリアに抑留されていた詩人の石原吉郎さんが、人の名前の大事さを書いておられたのを思い出す。
「自分に対してひどいことをした人間に対して、その人をかわいそうな人物だなと感じ、憎しみは憎しみのまま、受け止められる時が時々ある」と言うと、「年の功だね」とH君は笑った。


木々や草にツタが絡まって風に揺れる姿は美しい。
そこら一帯の空気に緑が溶け込んで揺れていて何とも言えないものを作りだしている。
草が覆いかぶさった奥に流れる川、緑の石が反映した静かな空間は神々しい。


同級生の人数は、221名、亡くなった人がすでに19人いる。
不明者は27人(住所がわからなくなり、連絡がとれない人がほとんど。連絡がとれても同級会には絶対出てこない人もいる。言いたくないことは言わなくていいから、存在そのものを喜びあいたいから顔を見せてよ、と言う一文をつけて葉書を出したい)

たとえが変なのだが、いやなことでも順番が回ってくると受け入れなくてはならなかったいう意味で、予防注射が大嫌いだった私は、必ず順番が回ってくる予防注射のようにやってくる死を受け入れかねている。
生まれる前の何も感じられない空白状態の時間が、自分の死の後に永遠に続くと考えるといたたまれない。
層祖父母(写真でしか知らない)、祖父母、父、兄、叔父、叔母、従兄弟、従姉妹たちは亡くなっているのに私は、自分の死を受け入れかねている。

kakasi1.jpg
その町の人口は3000人あまり。
毎年催されるかかし祭り。
写真に写っている50人中、45人はかかしです笑


kakasi2.jpg
稲刈りの済んだ田んぼで、盆踊りを踊っているのは全部かかしです。
苦心惨憺して寝ないで作った楽しいかかし人形たちに敬意は表しますが。ふとゾンビ映画に雰囲気が似ていると思うこともないではない


柴犬カンチの足跡日記 カンちゃんに一度会ってみたいな
http://blog.livedoor.jp/kanchi_m/


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