ドキュメンタリー 「らくだの涙」 [映画]
ポスターの白ラクダは難産で生まれた赤ちゃんラクダ
モンゴルのゴビ砂漠。
ゲル(モンゴル語 伝統的移動式住居)=パオ(中国語) には曾祖父母・祖父母・父母・子供3人の四世代の家族9人が暮らしている。
監督 ビャンバスレン・ダバー(女性 モンゴルからドイツのミュンヘン映画大学に留学した)
監督 ルイジ・ファロルニ(同級生の男性 イタリア)
ドキュメンタリー映画「らくだの涙」は、2003年、卒業制作として撮られた作品。
映画大学の関係者の勧めで、各地の映画祭に出品し、受賞、大絶賛を受けた。
子らくだにお乳を飲ませない母らくだ
(母ラクダは、2日間の難産のショックから苛立ち、育児放棄をする)
しばらくは、乳を搾ってヒツジの角を哺乳器にしたようなもので飲ませていたが、授乳は充分でなく、白い子らくだはだんだん弱りはじめる。
<フースの儀式>
こわばった母らくだの心を癒すために、馬頭琴と歌(遊牧民の民謡 オルテンドー)でモンゴルに昔から伝わるフースの儀式を執り行うことになった。
母らくだの2つある瘤の中の、前の瘤に馬頭琴をひもで下げると、弦を風が撫でるかすかな音が聞こえる。
馬頭琴の名手は、静かに流れるような哀愁を帯びたしかも活き活きした音色を奏でる。
一家の若い母親が母ラクダをさすりながら朗々とした高音で心に沁み入るような歌(オルテンドー モンゴルの民謡 長歌)を歌う。
馬頭琴
興奮し荒々しくなっていた母ラクダは、だんだんおとなしくなり、大きな目から大粒の涙を流し始める。
オルテンドーの歌声は聴く人の中からその都度なにかを引き出してくれる。
泣くにせよ笑うにせよ、心を揺さぶられ引っ張られる。一緒に声を出し叫びたくなってくる。
しばらくして、母ラクダは落ちつきをとりもどし白い子ラクダにお乳を与えるようになった。
★オルテンドー(長い歌。中空に朗々と放ち、たたみかけるようにして森羅万象に共鳴させる。
日本の追分や馬子歌のルーツ)
若い母親の声は低い音程から一挙に高音になり、高音を揺らす。
オルテンドー
若い母親の服装は上記と異なり、地味で素朴。声もそっくりではないけれど近い。
柴犬カンチの足跡日記
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