(2)山の霊異記「ヒュッテは夜嗤う」(安曇潤平・著  幽ブックス メディアファクトリー [本]

夜嗤う.jpg
★20話ある中で、身近に感じられ、少しばかりリアルに想像できる話を1つ選んでみた。
ぼんやりと過ぎていく日常生活の中でマンネリ化しふやけていく生命感。
山でも海でも命を落とす危険は紙一重だが、そのぐっとくる緊張感の一歩一歩を味わいたい。





< 「隧道」(すいどう) トンネル  「ヒュッテは夜嗤う」安曇潤平 より一部を抜粋 >

ガイドブックにも載っていないような秘境にある無名の山を見つけては、出かけてゆく3人の男たちがいた。
雨に降りこめられたため、今は廃線になっているが、昔はダム建設のため資材輸送用に使われていた鉄道のトンネルの中を通ってみることにした。
真っ暗なトンネルの中をヘッドライトをつけて進むうちに、左に一本のわき道があるのに気づいた。
地面にたまり始めた水が、くるぶしあたりにまできたので、道がVの字に傾斜していない限りこんなことは起こらないはずだといぶかしく感じた。
不安な気持ちに襲われたので、2人がトンネルの先の方を偵察することになったのだが、2人は背中まで水につかってしまった。
残された1人は、先に進んだ2人の背後に何人もの人影を見た。

「他の人たちって?」
「先輩たちといっしょにいた人たちですよ。」
「おいおい。おかしなことを言うなよ。おれたち以外、人なんていなかったぜ」
ヘッドライトの先を見て悲鳴を上げた。
トンネルの先から、大量の水がこちらに向かって濁流のように押し寄せてきた。
しかも、その濁流の中を瞳のない窪んだ眼で大きな口を開けたミイラのような風体をした何人もの人間らしき塊が、水から上半身を出して両手を上げながら3人に向かって進んでくるのだ。

先ほど見つけた一本のわき道に座っている老人が手招きをしている。
3人がわき道に入ると、間髪を容れずに、濁流とミイラのような真っ黒い塊の群れが、まっすぐ前を向いたまま人のものとも獣のものとも判断のつかない異様な唸り声をあげながら、目の前を通り過ぎて行った。


★まわりで何が起ころうとも朝までぐっすり。 
丑三つ時(午前2時~2時30分ごろ)に寝ぼけて幽霊にあいさつをするタイプ。友人に欲しい。
くま.gif
原 みつるさん作



「ヒュッテは夜嗤う」
目次
1)5号室 2)隧道(トンネル) 3)幻惑の尾根 4)異臭 5)呼ぶ声 6)リフト 7)豹変の山  8)赤い靴
9)スノーシュー  10)ピッケル 11)ツエルト 12)噂の公園その一 13)噂の公園その二 14)境界線
15)猫の山 16)鹿乃牧温泉 17)終焉ンの山 18)仙人ンの山 19)古の道 20)息子 


<きわめて個人的メモ>

映画
★最近鑑賞した劇場映画
「杉原千畝」(すぎはらちうね)

音楽
★1つのCDを1週間から1カ月聞き続ける。
 リコーダー 天賦の輝き ミカラ・ペトリ
 家族トリオ  リコーダー (ミカラ・ペトリ)  母(チエンバロ・ピアノ)  弟(チエロ)

(曲名)
無窮動・グリーンスリーヴズ (トウ・ア・グラウンド)・勝ち誇るウグイス・恋のウグイス・天使のナイチンゲール・ 蚊の踊り・ミツバチ・くまんばちの飛行など22曲



<各器官のおとろえによる、ひじょ~に個人的な感想。>
★古い映画はゆっくりとした懐かしいテンポを味わえるが、まどろっこしくて時々退屈。
★最近のものはテンポが早く、字幕を読むのが精一杯。時々退屈。



柴犬カンチの足跡日記  愛犬は、兄弟姉妹にも子供にも孫にもなってくれる。
http://blog.livedoor.jp/kanchi_m/


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