「銀河鉄道の夜」の最終形と初期形 [童話]

賢治の「銀河鉄道の夜」には、推敲を重ねた4次原稿まであり、初期形の原稿と最終形の原稿が出版されていますが未完のままです。

<最終形の「銀河鉄道の夜」>
夜の丘の上で眠ってしまったジョバンニ少年が、川に落ちた友達を助けようとして亡くなったカンパネルラ少年に夜汽車(銀河鉄道)の中で出会います。
夜汽車(銀河鉄道)の中で、どこまでもどこまでも一緒に行こうと誓いあった2人の少年たちでした。
カンパネルラは、天の川のひととこに、大きな真っ暗な穴(石炭袋)が、どおんとあいているのを見つけます。
その底がどれくらい深いか、その奥に何があるのか、いくら目をこすっても何にも見えず、ただ眼がしんしんと痛むのでした。
石炭袋1.jpg


石炭袋3.jpg

             南十字星の左下の黒いガスが暗黒星雲・石炭袋(コールサック)とも言う


いつの間にかカンパネルラ少年はいなくなり、残されたジョバンニは絶望的な悲しさと寂しさを味わいます。
黒いガス(暗黒星雲)・石炭袋の闇を、ジョバンニ少年やカンパネルラ少年と共に覗き込んで、私たちは気の遠くなるような恐怖を感じます。
カンパネルラ少年はいったいどこに行ってしまったのでしょうか。
残されたジョバンニ少年(私たち)はどうすればいいのでしょうか。


<初期形の「銀河鉄道の夜」>
残され、悲嘆にくれていたジョバンニの前にある男性が現れます。
男性の声はセロのようです。
「おまえはもうカンパネルラをさがしても無駄だ」と言われてしまします。
「お前はもう、夢の鉄道の中でなしに、本当の世界を、火や激しい波の中を、大股にまっすぐに歩いていかなければいけない 天の川の中でたった一つの本当のその切符を決してお前はなくしてはいけない」

次にブルカニロ博士が現れ「お前は夢の中で決心した通り、まっすぐに進んでいくがいい」と言い、切符に包んだ2枚の金貨をくれます。
私たちは日常の中に埋没し、カンパネルラ少年はいったいどこに行ってしまったか、残されたジョバンニ少年(私たち)はどうすればいいのかを、時々ふと思い出すように、問い続けるよりほかはありませんね。




柴犬カンチの足跡日記
http://blog.livedoor.jp/kanchi_m/

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