起こってはならないことが起こる映画「ドッグヴィル」再投稿 [映画]

★1年のうちで一番気ぜわしくなる月である3月は、気鬱になる月でもある。
ガツンとくる映画が見たくなったので、デンマークのラース・フオン・トリアー監督の映画をDVDで見た。
人間の心の暗闇の底に隠れているものから湧いてくる取り返しのつかないことから、現実の事件が発生し、現実の人を巻き込んでゆく容赦のない映画だ。

「ドッグヴィル」
監督 ラース・フォン・トリアー
2003年 177分 デンマーク

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子供も入れて人口30人足らずの寒村ドッグヴィル(犬村)がロッキー山脈の山間部にある。
ある日のこと、銃声が聞こえ、ギャングに追われた美しく知的な女性グレース(ニコール・キッドマン)が村に逃げ込んでくる。
彼女が何をしでかしてギャングや警察から逃げているのか、最後の最後まで明かされない。
村の知性と善意を自負している小説家志願の青年トムは、グレースを村の廃坑にかくまう。


映画のセットは、道も木も家も、広い倉庫の床にチョークで白線を引いただけのもの。
演劇の舞台装置のようにわずかな家具しかなく、村の人々の生活が同時進行しているのが全部見える。
トムは、貧しく閉鎖的な村の人々に、グレースに2週間、この村に労働力を提供してもらうことを提案する。



初めの頃は、控えめにグレースに接していた村人たちも、日常の雑事を彼女に押し付け、彼女がくたくたに疲れても何とも思わないようになる。

いつでもグレースの味方のようにも見えるトムには、智恵と判断力はあるが、実は彼は父親に頭の上がらない世間知らずの煮え切らない男だ。
彼は、ギャングの親玉から連絡場所を書いた名刺をもらうが、愛し始めているはずのグレースに対して、名刺は破り捨てたとなぜか嘘をつく。

あろうことか、町から移り住んで来てリンゴを育てている子沢山な男が、グレースに襲い掛かる。
また月に一度娼婦を買いに町に出る運送業の男も、お金を渡し逃亡を相談したグレースを騙し、トラックの中で(皆のいる教会の前)でグレースに襲い掛かる。
盲目なのにそれを隠しているプライドの高い老人もグレースのスカートに手を入れ腿をさわり続ける。
子供でさえも例外ではなく、性に目覚めつつある少年がグレースを脅迫してお尻をたたかせ(大人の女性の感触を楽しむつもりか)母親に言いつけて面白がったりする。
今まで善意のオブラートに包まれていたものがはがれ、村人の悪魔的な狂気が次第に始まる。
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グレースに出会う前にトムが好きだった村の女性は、トムをわずらわしく思っていたにもかかわらずトムと親しくなったグレースには陰湿な意地悪をする。
リンゴ作りの男の妻は仕返しを、アフリカ系の女性も、雑貨屋の夫人も労働力としてグレースを残酷にこき使い、日ごろの鬱憤をグレースをいじめることで晴らす。


グレースは陵辱と重労働と裏切りに耐え村人を許し続けるが、村人たちはグレースをギャングに突き出す。
ギャングの親玉はグレースの父だった。
父は「他人を許すと言う一見慈悲深そうな考えや行動は、傲慢な人間のすることで、偽善である」と言う。
グレースは、自分の命に関わる程の苦痛を与えることを、他人が悪意でやり続けるのを野放しに許し続けていたことに気づく。

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グレースは急転直下変貌する。子供にも赤ン坊も容赦しない。
彼女はギャングの子分たちに村を焼き払うように命令し、ギャングの子分たちは村人を拳銃で撃ち殺す。
グレースは当然のようにトムを撃ち殺す。





★引き続きDVDで見たラース・フオン・トリアー監督の映画
「奇跡の海」 ・ 「ダンサーインザダーク」 ・ 「マンダレイ」 ・ 「メランコリア」
「アンチクライスト」だけは、見たくない状況にあった時に放映されたものだったのでまだ見ていない。

★最近見た劇場映画「マリーゴールドホテル 幸せへの第2章」
自然の猛威 「エヴェレスト 神々の山嶺」 ・ 「ザ・ブリザード」 ・ 「X-ミッション」

★怪奇映画 原作・楳図かずお「蛇娘と白髪魔」

★現在所有のパソコンVistaは、立ち上がりが遅く、動きが重い。
使えるまでに10分以上かかり、そのつど画面を開くのにも時間がかかる。
その間他の雑事と並行して時間が使える。
しかしもうその苦労もなくなる。新しいノートパソコンは、4月1日に届く。

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映画「永遠のマリア・カラス」 [映画]

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監督 フランコ・ゼフィレッリ 2003年公開 108分 
オペラの舞台での心理描写と演技力が群を抜いている、20世紀最高のプリマドンナの一人であるマリア・カラスは、恋人のギリシャの海運王オナシス亡き後、パリで隠遁生活を送っていました。


打ちひしがれたマリア・カラス(ファニー・アルダン)に、友人の音楽プロモーターからオペラ映画の企画が持ち込まれます。
映画「永遠のマリア・カラス」の内容はフイクションですが、彼女が亡くなる半年前には、実現されなかったけれど、似たような企画オペラ「トスカ」があったようです。
全盛期の頃のマリア・カラスの声は、ドラマッテイックで、黄金の翼のついた何千もの盾が反射の輝きを重複させ、その中から生まれた無数の剣が光を放ってるようでした(筆者)
37歳前後から独特な歌唱法による喉の酷使で高音が出なくなり始め、完璧主義の彼女は、世界中を回るのに疲れ果てたのか、オナシスとの愛人関係にのめりこみ、オペラから遠ざかりました。
オナシスは彼女の歌を「退屈だ」と言ったとか、せっかく天からもらった美声と演技力をこんな打算的な浮気者の男のために眠らせるとは・・・・


私が一番好きだった映画のシーンは、夜中に孤独なマリア・カラスがオペラの仕事を受けるかどうか迷って悩んでいる時、「とにかく歌え、歌はお前の命だろう?」と言う感じで豪華な衣装を付けた「歌の精」が現れ部屋中に響き渡るオペラを歌うシーンです。(声はマリア・カラスの美声を使用)
彼女は、全盛期の自分の姿を借りた「歌の精」と対面して、その頃のやる気と歌に対する切ないほどの畏敬の念と憧れを少しばかり取り戻したのではないでしょうか。
ファンとしては、戦闘的な輝かしい歌い方をする若い頃のマリア・カラスもいいと思うのですが、彼女の年齢に応じた演技や歌のそれぞれを味わってみたかったですね。
映画「王女メディア」で王女を演じた彼女は、女の悲しさと意地と魔力を炎のように発していましたが、裏切った夫の子供を殺傷してしまうものすごい情念は、他のどの女優が演じても影が薄くなり、彼女にこそピッタリの役であるような気がしました。
劇中劇でマリア・カラスは映画「カルメン」を円熟した表現力で魅力的に演じ、声は全盛期の声を使用、ついに映画が完成しました。
結局、彼女は口パクの演技と、全盛期に録音した声を使用したことに虚しさを覚え「カルメン」の映画は没にすることにしました。
彼女のために大勢の共演者とスタッフが振り回され、多額の費用、皆の汗と涙が反古になりました。
マリア・カラスは54歳でこの世から去りました。

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★新しいパソコンを手に入れるために奔走中。
しばらくみなさんの所に拝見に行けないのがとても残念です。
いまさら、マリア・カラスでもないと言われそうですが、初めのころの投稿で閲覧者がゼロでしたので、再投稿しました。
音楽教室の発表会、1日ずらして同時にある小学校と中学校の同窓会が楽しみです。




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映画「イット・フォローズ」 [映画]

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「イット・フォローズ」(それが追いかけてくる) 監督 デヴィット・ロバート・ミッチエル  100分 アメリカ



<物語の前に・・・>

何が原因でそういうことが起こるのか誰にもわからない。
誰もがそうなるわけではないが、性交渉の後、自分にしか見えない人間(化け物)に後をつけられ、追いつかれると必ず殺されると言うことが起こる。
化け物が見え、追いかけられると言う感知能力は性交渉で人から人へ感染してゆく。
どのようなルートでそう言うことが起こって来たのか解らない。
恋人として信じていた相手から、化け物が追ってくる(自分にしか見えない)のを感知する能力を移すためだけに、恋人として相手にされていたことを知らされる。
悲惨きわまりない状況で、他人には見えない化け物から終日追われる苦痛がある。
回避する方法は、化け物を殺すか、他の人間と性交渉を持ち、感知能力を他の人に移すことである。
非常にややこしいが、感知能力を移された人間が化けものに殺されると、移した元の人間に感知能力が戻ってきて再び化け物から追跡されることになる。
自分を追いかけてくる人間を殺しても、性行為で誰かに感知能力を移さなければ、形を変えた化け物たちに生涯追跡され続ける。
映画を見ても何が何だかよくわからないので、何回も見る人がいるらしい。



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主演の女子大生のジェイを殺すために、ゆっくり歩いて追いかけてくるおばあさん。(他の人には見えない)
なすがまま、人間同士に殺しあいをさせるものとは?


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追いかけて来て殺そうとする見知らぬ女性(他の人には見えない)

化け物は、おばあさんであったり、若い女性であったり、子供であったり、2メートルもある男性であったり、元恋人のおぞましい母であったり、屋根の上からこちらを見ている裸の男性であったりする。
最後に追いかけてきた父(亡くなっていたはず)をプール内で撃退する。
化け物たちが掴みかかってくるときの形相が狂っていて恐ろしい。
何だか夜見る夢の中の様子とよく似ている。


<物語>
19歳の女子大生ジェイ(マイカ・モンロー)が、恋人から化け物の感知能力を移されたところから物語が始まります。



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映画の最後のシーン
幼馴染の新しい恋人の男の子と手をつないで歩くはるか後方の路上中央に、追跡者(化け物)が歩いてくるのが見える。
大学や図書館で朗読されるドストエフスキーの「白痴」やエリオットの詩は、恋人をとことん愛する青年の純愛や蘇ってきた死者のことを述べていると思うのだが、DVDになって何度も見返さなければ暗記できない。




★パソコンがvistaなので3月いっぱいまでに、閲覧ソフトをグーグールチャームから他のものに変えなくてはならない。そのやり方が分からないので、電気屋さんに聞かなければならないが、いまひとつやる気が起こらなくて困っている。冬は冬眠したい。わけのわからない疲労感が眠気を誘う。


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映画「残穢~住んではいけない部屋~」 [映画]

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残穢(ざんえ)~住んではいけない部屋~
監督 中村義洋 2016年 107分  原作・小野不由美「残穢」新潮文庫


かつてひとつの土地に建っていた一軒家や工場が何十年もの間に取り崩され、同じ場所にマンションが建つ。
その間、住人は当然何人も入れ代わっている。
昔そこに住んでいた人たちの因縁で、現在の住人たちが、変な音を聞いたり、幻(幽霊)のようなものを見たりする。
その土地や家に住んだ人に災いを起こすのは、以前その土地に住んだ人の穢(けがれ)だった。
この考え方からすると、穢(けがれ)のない場所はほとんどないことになるので、どこに住んでも心霊現象には出くわさなければならないだろう。
地鎮祭やお祓いが必要なのはそのためなのだろう。
★ブログ主にも、" 見える人でなくてよかった ”と言う体験がいくつかある。音は時々聞こえるのです。


小説家の私(竹内結子)に、女子大生の久保(橋本愛)という読者から、「畳の部屋で、ほうきで掃くような奇妙な音がする」と言う手紙が届く。
調べていくうちに、以前現在立っているマンションの土地にあった小井戸家、その前にあった高野家、また吉兼家の因縁にたどり着く。
女子大生の久保が心霊現象で見た和服姿の女性は、娘の不始末を恥じて首つりをした女性だと言うことが分かった。
奇妙な音は、垂れ下がって揺れる帯が畳にふれる音だった。


私と女子大生の久保が再度調べてみると、マンションの過去の住人たちは、引っ越していった新居で、自殺や殺人などの事件を引き起こしていた。
彼らはなぜ、住んでいた部屋ではなく、別々の場所で、不幸な末路をたどったのか。
穢(けがれ)による心霊現象は、その土地を離れても波及してゆくのだろうか。


赤ん坊の泣き声は、娘の堕胎した赤ん坊だということが分かったが、もっと多くの赤ん坊が関係しているのではないかと思ったので、以前の住人のことを調べてみると、生まれてきたばかりの赤ん坊を次々に殺していた女性がいたことを突き止めた。


私は、夫の直人(滝藤賢一)、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年(坂口健太郎)の協力を得て
さらに調査を始めた。


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大正時代、そこには資産家・吉兼家の屋敷があり、精神障害の息子が座敷牢に閉じ込められていた。
九州福岡県の奥山家から嫁いできた嫁は、嫁入り道具に奇怪な美人画を実家からもってきていた。
私は吉兼家の不幸の原因は嫁持ってきた美人画にあったと考え、怪奇現象の元は嫁の実家の奥山家であることが分かった。
炭鉱を経営していた奥山家は借金で使用人もろとも無理心中をしていた。

小説家の私、夫、女子大生の久保、作家の平岡、心霊マニアの青年で、強烈な恨みの残留思念が残っている九州の奥山家の屋敷内に立ち入ると、怪奇現象に襲われる。



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「残穢」と共通点があるとされる「鬼談百景」
小野不由美「鬼談百景」 メディアフアクトリー 初版2012年7月 ¥1600+税
文庫本も出版されている




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あどけなさが残るおばさんのカンチャンがこわいのは豆まきと花火

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映画「オデッセイ」 [映画]

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サバイバル映画「オデッセイ」   監督リドリー・スコット アメリカ 2015年 142分

宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マッド・デイモン)が、仲間と火星探査中に嵐に巻き込まれ、地球から4年もかかるという火星に1人取り残されてしまった。
彼は、怪我の手術を自分でどうにかやりこなし、水や酸素を手に入れようとする。
残りわずかな食糧のことを考え、植物学者でもある彼は有機栽培でジャガイモを作る。
宇宙船の船長(ジェシカ・チャスティン)が残して行った70年代のディスコ・ミュージックを流しながら作業に取り掛かる。
ひどく嘆き悲しむということもなく、前向きに生き延びようとし、地球に帰ることに向けて日々頑張っている。


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植物学者でもあるマークはジャガイモを作り命をつなぐ。


NASAの女性職員が、マークの生存を見つけ、地球では救出手段を考え始める。
世界の人々は救出作戦を見守っている。

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命綱を付けた船長が、宇宙空間において体を張ってマークをつかまえようと試み、マークはい力強くそれにこたえる。
ジョークが飛び、全体的に明るい気力に満ちた映画だった。




★<パソコンについて>
windows Vistaは4月1日から、Google Chromeのアップデートができなくなってしまうので、しばらく投稿はお休みするかもしれません。パソコンを買い変えるかまたは他の手段をとるか考慮中です。


柴犬カンチの足跡日記  豆まきの豆が怖くて逃げたところはいつもの脱衣場
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ドキュメンタリー映画「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」 [映画]

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フランス アルプス山中 グランド・シャルトルーズ修道院
監督・脚本・撮影・編集 フィリップ グレーニング(ドイツ人) 
169分 
制作 2005年 
公開日 2014年7月12日


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映画には
ナレーションもなく
音楽もなく
撮影のための照明もない
監督フィリップ・グレーニングが1984年に撮影を申請、それから16年の歳月を経て許可がおりた。

グランド・シャルトルーズ修道院は、静寂と沈黙のカトリック教会(カルトジオ会)
自給自足と祈り、清貧のうちに生きる男子修道院。
日曜日の昼食後、散歩の時間に会話が許される。



<映画の初めと終わりの字幕の言葉>列王記上  19章11節~12節

主の前で大風が起こり山を裂き 岩を砕いたが 主は おられなかった
風の後 地震が起こったが 主は おられなかった
地震の後 火が起こったが 主は おられなかった
火の後 静かなやさしい さざめきがあった


★修道僧たちが、身を清め、沈黙し、神の声に耳を傾けようとしていると(1日に8時間も祈る)、かすかなさざめきのような御言葉が聞こえるらしいが、ブログ主には解らない。
★劇場まで足を運ぶのは、今まで全く知らなかったであろうことを知りたいと言う願いがあるから。
★静かな美しいものを見たいと思うほど、心身共に疲労困憊しているから。
★望んでもいないのに、気がつくと鬼のような家族がいる家に生まれていて、地獄の時をすごさなければならなかったのはなぜかと言うことを忘れずに考えるためのヒントが欲しかったから。

グランド・シャルトルーズ修道院の修道僧たち
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★表情が心底美しい。一級の美術品を見るようだ。
★一神教(神)に生涯をささげ、沈黙を守りぬくと言う修道僧たちがいてくれるだけで有難い。
★全く違った環境、つまり八百万の神々や偉大な山や石や木や池を御神体として生きている人々に育てられ、今もその中で暮らしている自分には、修道僧たちの一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)が興味深い。
★持ち物は小さなブリキの箱、電気バリカンで髪をそり、聖書を読むための蛍光灯スタンド、腕時計をはめている修道僧がいるし、壁には時計がかかっているので、現代の利器は使用しているのだ。


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★これも修行の一端なのかもしれないが、雪の日に彼らが楽しそうに雪滑りをして遊んでいる場面を見てホッとした。

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修道院で作られている<ハーブ・リキュール>
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香草、薬草、花、根などから抽出された成分をワインと合わせて作られている。
製造され始めたのは、1605年ころ。
1789年のフランス革命後、紆余曲折を経て130種以上の材料を必要としたため、薬剤師が醸造法を正しく理解し、最初のリキュールを作り上げるまでに100年以上を要した。
現在は修道士3人のみが知る秘伝となっている。


以下(Movie Walker)より引用
フランスのアルプス山脈にある男子修道院グランド・シャルトルーズ修道院の修道士たちに、世界ではじめてカメラを向ける。
ケルンのブルーノが創始したカルトジオ会はカトリック教会の中でも厳しい戒律で知られ、グランド・シャルトルーズ修道院でも、何世紀にもわたり守られてきた決まりの中で、修道士たちは粛々と祈りを捧げ生きている。
彼らは俗世間から切り離されているうえに、日曜の昼食後に設けられている散歩の時間以外会話は許されていない。
静寂が保たれ、俗世間とは異なる時間が流れていく。
うつろう季節、灯りや影、祈り、瞑想性と精神性を育むようなグレゴリオ聖歌、修道士たちの澄んだまなざしといった修道院のあるがままの姿をカメラは捉えていく。



柴犬カンチの足跡日記  幸せなカンちゃんのクリスマスとお正月
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回音壁と三音石 「宗家の三姉妹」 午前10時の映画祭(第3回・新) [映画]

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第二次世界大戦前後のアメリカから中国に帰国した三姉妹の上に起った出来事
中華民国から中華人民共和国へ至る動乱の中
長女は名門財閥の男性と結婚
次女は革命家の孫文と結婚
三女は国民党指導者の蒋介石と結婚
日中戦争下では行動を共にした三姉妹も、戦後はそれぞれの人生を歩いた。
制作1997年(日本・中国) 監督メイベル・チャン 音楽 喜多郎   衣装 ワダエミ



★劇場映画の中で、ものすごく見たい新しい映画を見つけ出せなかったので、不思議な音が響く公園のある場面が出てくる「宗家の三姉妹」(午前10時の映画祭)に行くことにした。




<個人的に興味を持った回音壁>手直しして再投稿
天壇公園 回音壁.jpg
天壇公園 回音壁

「回音壁」は半円形や円形の壁で上は天井なしの筒抜け、皇帝の位牌を祭る古代の霊廟建築物である
映画の中の「回音壁」は、娘たちが走りながら声を発すると、移動する声があちこちからこだまする不思議な円形の壁だった。
2人が壁の左右両側に別れて立ち、声を発すると180度離れていても、ひそひそ声が壁に伝わりはっきり聞こえる。
壁のレンガはつなぎ目をきれいに埋め、滑らかに磨き、音が反響するようにしてある。
映画の冒頭で、子どもの頃の三姉妹が「回音壁」で追いかけっこをして遊ぶ幻想的なシーンが好きだった。


なんでやねん.gif
原 みつるさん 作


天壇公園 三音石.jpg
天壇公園 三音石

「三音石」と言う石畳は、一番前の石の上で手を一つたたくと反響音が一つ、二番目の石畳の上では手を一つたたくと二つ、三番目の石畳の上では三つ音が返ってくる。
「宋家の三姉妹」の映画では「回音壁」と「三音石」を同時に使っていたようだ。



柴犬カンチの足跡日記  カンちゃんは牛乳とチーズについては、新鮮さがわかるむずかしいわんこだった。
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 映画「ヴィジット」 [映画]

死者が見える少年と、もうすでに死んでいるのにそのことに気づかない精神科医が登場した映画「シックスセンス」のような霊的なものが関与している映画かどうか、見てみないとわからないので、少しだけ期待しながら映画「ヴィジット」を見に行った。

映画「ヴィジット」は、15歳の姉と13歳の弟が、アメリカのペンシルバニア州で暮らしている祖父母の家に遊びに行き、奇妙で恐ろしい体験の映像をドキュメンタリータッチで記録する映画だった。
だから霊的なものは一切関与していなかったので少々がっかりした。
映画は見てみないとわからないので、空振りがあるのも当然だ。
個人的な好みを一番に考えて、空振りと言っただけで、監督や俳優さんたちの実力とは関係ないことです。


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母親は駆け落ちしたため15年もの間、両親に会ったことがなかった。
姉と弟は祖父母に会ったこともなく顔も知らなかった。
姉が、祖母に、母親が家を出た日のことを聞くと知らなかった。

~~~~以下内容に触れています~~~~~~~~~



月.gif
原みつるさん作

ヴィジット2.jpg

時折、狂気の混ざった行動やまなざしを姉弟や訪ねてくる人たちに向ける偽物の祖父母。
姉と弟が母に連絡をとり、祖父母の映像を見せると祖父母は全くの別人だった。
ほんものの祖父母は、精神病院でボランティアをしていて、偽者たちは精神病院の患者だったのだ。
本物の祖父母の遺体は地下室にあった。

映画「ヴィジット」監督・M・ナイト・シャラマン 2015年 アメリカ


12歳のお誕生日おめでとう。20歳祈願。
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ドローン・オブ・ウォー [映画]

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一方的にミサイルが発射されるだけで、戦闘シーンが出てこない戦争映画。
2011年9月11日以来、アメリカはテロリストを一掃するために、テロリストのいる国に無人機ドローンを飛ばしミサイル攻撃をしている。
人を殺しても煙が上がるだけなので実感がない。

アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐は、F-16戦闘機のパイロットから、無人戦闘機の操縦士になりラスベガスにある基地のコンテナ内の部屋で、無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国(中近東)のテロリストたちを爆破し殺している。

爆破された場所や人物が静かに映し出されるだけのモニターを見ながら、「Good kill」(映画の題名)一掃した!と唱える。
クリックひとつでミサイルを発射する爆撃には現実感はない。

テロリストらしい人物が1人、または集団で家の外にいる時、その中には民間人や子供が含まれていることもあるが、巻き添えになって死んでいる。
テロリストと思しき人々が葬式で墓地に集まっている時や武器を製造しているらしい家にも、無人機ドローンからミサイルを撃ち込む。
ある時少佐は、粗暴な男からいつも人気のない庭で性的暴行を受ける女性を哀れに思い、男にミサイルを撃ち込む。

少佐は一日の任務を終えると、車でラスベガスの歓楽街を通り、住宅街のマイホームへ帰り、妻とふたりの子供たちとの生活を楽しんでいる。
少佐は実践のあるF-16戦闘機のパイロットに戻りたくなったが、CIAの命令(殺せといった人物たちを殺さなかった)に従わなかった結果、それもかなわず、徐々に精神に異常を来たしてゆく。



ドローン・オブ・ウォー
監督 アンドリュー・ニコル   トミー・イーガン少佐 (イーサン ホーク)
2014年 アメリカ 104分

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ドキュメンタリー 「らくだの涙」 [映画]

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ポスターの白ラクダは難産で生まれた赤ちゃんラクダ

モンゴルのゴビ砂漠。
ゲル(モンゴル語 伝統的移動式住居)=パオ(中国語) には曾祖父母・祖父母・父母・子供3人の四世代の家族9人が暮らしている。



監督 ビャンバスレン・ダバー(女性 モンゴルからドイツのミュンヘン映画大学に留学した)
監督 ルイジ・ファロルニ(同級生の男性 イタリア)
     ドキュメンタリー映画「らくだの涙」は、2003年、卒業制作として撮られた作品。
     映画大学の関係者の勧めで、各地の映画祭に出品し、受賞、大絶賛を受けた。




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子らくだにお乳を飲ませない母らくだ
(母ラクダは、2日間の難産のショックから苛立ち、育児放棄をする)


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しばらくは、乳を搾ってヒツジの角を哺乳器にしたようなもので飲ませていたが、授乳は充分でなく、白い子らくだはだんだん弱りはじめる。


<フースの儀式>
こわばった母らくだの心を癒すために、馬頭琴と歌(遊牧民の民謡 オルテンドー)でモンゴルに昔から伝わるフースの儀式を執り行うことになった。

母らくだの2つある瘤の中の、前の瘤に馬頭琴をひもで下げると、弦を風が撫でるかすかな音が聞こえる。
馬頭琴の名手は、静かに流れるような哀愁を帯びたしかも活き活きした音色を奏でる。
一家の若い母親が母ラクダをさすりながら朗々とした高音で心に沁み入るような歌(オルテンドー モンゴルの民謡 長歌)を歌う。

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馬頭琴

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興奮し荒々しくなっていた母ラクダは、だんだんおとなしくなり、大きな目から大粒の涙を流し始める。
オルテンドーの歌声は聴く人の中からその都度なにかを引き出してくれる。
泣くにせよ笑うにせよ、心を揺さぶられ引っ張られる。一緒に声を出し叫びたくなってくる。

しばらくして、母ラクダは落ちつきをとりもどし白い子ラクダにお乳を与えるようになった。

★オルテンドー(長い歌。中空に朗々と放ち、たたみかけるようにして森羅万象に共鳴させる。
日本の追分や馬子歌のルーツ)
若い母親の声は低い音程から一挙に高音になり、高音を揺らす。


オルテンドー
若い母親の服装は上記と異なり、地味で素朴。声もそっくりではないけれど近い。


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