再読中  小説・エッセイ・メモ・評伝 島尾敏雄・島尾ミホ  [本]

魅力的な最高傑作 2度読みの最中
島尾ミホ・島尾敏雄 愛の戦い 
ブログ主は、まだ、なまなかな言及さえもできない状態にあり、失礼いたします。


島尾ミホ 「海嘯」 銀河叢書
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島尾ミホ エッセイ集「愛の棘」 幻戯書房
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島尾敏雄 「死の棘」新潮文庫
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島尾敏雄 「死の棘」日記 新潮文庫
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「狂うひと」梯久美子 新潮社 
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「死の棘」の愛人の正体は?本当に狂っていたのは妻か夫か。



最近見た劇場映画
「キングコング:髑髏島の巨人」抜群に面白かった!最高だった!
「ゴースト・イン・ザ・シェル」
「パッセンジャー」

柴犬カンチの足跡日記  13歳のカンコちゃんの幸せな毎日
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沈黙ーサイレンスー(5)個人的な覚書  ああ殉教 モキチ  他 [映画]

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モキチ

参ろうや 参ろうや パライソの寺に参ろうや  
この地上は日本人の彼らにとってあまりに苦しい。
苦しいゆえにただパライソの寺をたよりに生きてきた百姓たち。


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殉教でした。しかし何という殉教でしょう。略 
~たとえばその人たちの魂が天に帰る時、空に栄光の光がみち、天使が喇叭(ラッパ)を吹くような赫(かがや)かしい殉教を夢見すぎました。略~
日本信徒の殉教はこんなにみじめで、こんなに辛いものだったのです。
ああ、雨は小やみなく海にふりつづく。
そして海は彼らを殺したあと、ただ不気味に押し黙っている。
遠藤周作「沈黙」より

★基督教では洗礼を受けると今までの罪は許される。
<告解>カトリックでは洗礼を受けた後、受洗後に犯した罪の許しを告解室で神父を通して受けることができる。

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「死の棘」島尾敏雄 新潮社

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「狂うひと」梯久美子著 新潮社 
島尾敏雄と島尾ミホ(どちらもカトリックで洗礼を受けた)のことに言及した小説「死の棘」
の妻の場合「そのとき私は、けものになりました」
★このような赤裸々な美しく悲しいものをブログ主は初めて読みました。
追い追いブログに書き付けてゆくつもりです。

最近見た劇場映画
「アサシン クリード」「モアナと伝説の海」「ラ・ラ・ランド」


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沈黙ーサイレンスー (4)個人的な覚書 ~つづく~ [映画]

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通辞(通訳)   浅野忠信
地侍の息子が世に出るための学問として、天草や大村や有馬にある神学校に通い、洗礼も受けるには受けたのだが、修道士にも切支丹にもなるつもりはなかった。
「パードレたちは、いつも我々日本人を、馬鹿にしとられた。カブラルと言うパードレは格別我々を蔑(さげす)まれておられた。日本に来ながら、我々の家を嘲(あざけ)り、我々の言葉を嘲り、我々の食事や作法を嘲られておられた。そして私たちがセミナリオ(神学校)を出ても司祭となることを決して許されなんだ」遠藤周作著「沈黙」より 


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通辞(通訳)
「デウスにまこと慈悲の心あらば、なにゆえ天国に行く道に至るまで、さまざまな苦しみやむつかしき事を与えるとおもわるるか」

別の侍の言葉を通辞はゆっくりと訳した。
「ある土地では稔る樹も、土地が変われば枯れることがある。切支丹と呼ばれる樹は異国においては、葉も繁り花も咲こうが、我が日本国では葉は萎え、つぼみ一つつけまい。土の違い、水の違いをパードレはかんがえたことはあるまい」遠藤周作著「沈黙」より

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隠れキリシタンたちが祈ったマリア観音

「パライソ(天国)に行けば、ほんて永劫、安楽があると常々申されとりました。。あそこじゃ年貢のきびしい取り立てもなかとね。飢えも病の心配もなか。苦役もなか。もう働くだけ働かされて、わしら」
「ほんと、この世は苦患(くげん)ばかりじゃけねえ。パライソにはそげんものはなかとですかね、パードレ」遠藤周作著「沈黙」より

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枯松神社 の神社祭 長崎
弾圧のなかで、「神 社」としてカモフラージュしながら、信仰の対象となるサン・ジワンさまを祀ったキリシタン神社

★潜伏していた切支丹たちの信仰は、200年もの間司祭から指導を受けられず、悲母観音像を聖母マリアに見立てたりして、仏教や神道、民俗信仰と結びつき変化していった。



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沈黙-サイレンス-  (3)個人的な覚書~つづく~ [映画]

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井上筑後守(いのうえちくごのかみ 宗門奉行)  イッセー・尾形

一見してほんわかムード、子供のような無邪気さを持つ井上筑後守は、ものわかりの良さそうな温和な人物に見えた。
「余が今、切支丹の禁制を命ずるのは、世間一般の考えとは同じでない。」
「余は、切支丹を邪宗とはつゆ、考えたことはない。」
「エスパニア、ポルトガル、オランダ、エゲレスとそれぞれ名のる女たちが、日本と申す男の耳に、夜伽(よとぎ)のたび、たがいの悪口を吹き込み申してな」
「一人の男に醜女の深情けは耐えがたい重荷であり、不生女は嫁入る資格なしとな」



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しかし宣教師たちから悪魔と呼ばれていた井上筑後守は、蛇のような狡猾さで、巧みな方法を駆使し、それまでは拷問や脅しにもひるまなかった信徒たちを、次々と棄教させている。
先に長崎奉行として多くの切支丹を虐殺した竹中采女(たけなか・うねめ)などは、たんに凶暴で無智な人間に過ぎなかった。
井上筑後守が考案した穴吊りの刑は、司祭たちを棄教させた最たるものだった。


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井上筑後守はかつて切支丹だった。

日本の貧しい百姓の信徒たちが、何よりもまず聖母を崇拝していることを熟知していたので、踏み絵が終わったあと、「おまえらの息づかいが荒くなったのを見逃しておらぬぞ」と言って、踏み絵に唾をかけ、「聖母は男たちに身を委(まか)せてきた淫売(いんばい)」だと言わせた。
言えない者は切支丹とみなされた。
「沈黙」遠藤周作 を参考にしました。・・・ブログ主

<穴吊りの刑で呻いていた5人の切支丹たちを助けるために棄教した司祭フェレイラのことば>
〇デウスと大日とを混同した日本人は、その時から我々の神を彼ら流に屈折させ変化させ、そして別のものを作り上げ始めたのだ」「沈黙」遠藤周作 より

〇日本人は人間とは全く隔絶した神を考える能力を持っていない。日本人は人間を超えた存在を考える力も持っていない。」「沈黙」遠藤周作 より

〇日本人は人間を美化したり拡張したものを神と呼ぶ。人間と同じ存在のものを神と呼ぶ。だがそれは教会の神ではない。」「沈黙」遠藤周作 より


★通辞(通訳)や元司祭フェレイラと司祭ロドリゴとの問答も面白い。次回に~つづく~


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小さな坂を下りる時のカンちゃんは、下にいる人に受け止めてもらおうとして上からムササビのように飛びつく。
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沈黙 -サイレンス- (2)個人的な覚書 ~つづく~  [映画]

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キチジロー(性格そのものは本当に善良だが、意志の弱さと一寸した暴力にも震え上がる臆病者であり、捕まるたびに何度でも踏み絵をして転んだ(棄教したふりをした?)。
そのたびにキチジローは、執拗に司祭ロドリゴの後を追い、罪の許しを得ることができる告解(懺悔)をした。

キチジローは言う
「踏み絵をば俺(おい)が悦んで踏んだとでも思とっとか。踏んだこの足は痛か。痛かよォ。俺(おい)を弱か者に生まれさせ(て)おきながら、強か者の真似ばせろとデウスさまは仰せ出される」      仰せ出される・・・小説の中の原文のまま     (遠藤周作 「沈黙」より)


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銅版(踏み絵)のあの人は言う
「踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番知っている。私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前たちの痛さを分かつために十字架を背負ったのだ。」(遠藤周作 「沈黙」より)




「あれは鼾(いびき)ではない。穴吊にかけられた信徒たちの呻(うめ)いている声だ」
信徒たちはすでに転んでいるので、ロドリゴさえ棄教すれば、彼らを助けることができる。
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ポルトガル・カトリック教・イエズス会・司祭ロドリゴは転んだ。 岡田三右衛門と言う日本人名と罪人の妻子をもらい受けた。64歳没。


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「母なるもの」遠藤周作  新潮文庫
裏切者や背教者、弱者や罪人にも救いはあるか?



★キチジローのことを思うと泣けてくる。自分と重なるところがあるからだろう。
★皆様のところへはゆっくり訪問させていただきます。3月の初めまで投稿はお休みする予定です。


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沈黙 -サイレンス- (1)個人的な覚書 序 ~つづく~     [映画]

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監督 マーティン・スコセッシ 
2016年 アメリカ 165分

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教父フェレイラ(リーアム・ニーソン)

秀吉が従来の政策を変え基督教を迫害しはじめた結果、各地で切支丹が家を追われ、拷問を受け、虐殺され始めた。
徳川将軍もすべての基督教聖職者を日本から追放することにした。
ひそかに日本の地に隠れ残っていた基督教聖職者たちの中に教父フェレイラがいた。
長崎奉行の竹中采女(うねめ)は雲仙地獄の熱湯で基督教聖職者たちを拷問にかけた。
江戸初期、ポルトガルのイエズス会が日本に派遣していた教父フェレイラは、穴吊(あなづり・汚物を詰め込んだ穴の中に首を入れ、逆さに吊るされる)の拷問を受け棄教した。
教父フェレイラは沢野忠庵と言う日本名を奉行からもらい、死刑にされた男の妻と子もいっしょにもらった。
稀にみる神学的才能に恵まれ、迫害下にも不屈の信念を持ち続けていた教父フェレイラはなぜ棄教したのだろうか。
教父フェレイラは「私が転んだ(棄教した)のは、自分が3日間穴に吊られたからではない」と言う。
「(棄教したのは)穴吊りにされ呻き続ける信徒たちに対して、神が何一つなさらなかったからだ」と言う。
信徒たちが「棄教する」と言ったとしても教父フェレイラが棄教しない限り、彼らは許されなかった。



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司祭ガルペ(アダム・ドライバー)     司祭ロドリゴ(アンドリュー・ガーフイールド)

フェレイラの弟子だった司祭のロドリゴとガルペは、キチジローの案内で、マカオを経て長崎にたどり着く。
すぐに司祭を裏切る、まるでユダのようなキチジローや元切支丹のイッセー・尾形の井上筑後守、海の中に立てた十字架に縛り付けられ水磔にされながら聖歌を歌うモキチなどがとても興味深かった。
最後に転んだ司祭ロドリゴからもまた目が離せなかった。


司祭ロドリゴ(アンドリュー・ガーフイールド)
キチジロー(窪塚洋介)、井上筑後守(イッセー・尾形)、 通辞(通訳 浅野忠信)
モキチ(塚本晋也・映画監督)、 イチゾウ(笈田ヨシ)
彼らについての言及は~
次回につづく~


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 踏み絵
「踏んだとて、心底の信仰がどうなるのでもない」遠藤周作「沈黙」より
★十字架(聖具)や聖画にあまりにも執着すると言うことは、偶像崇拝につながるのではないかと言う考え方もあるのだが・・・
★潜伏していた切支丹たちの信仰は、200年もの間司祭から指導を受けられず、悲母観音像を聖母マリアに見立てたりして、仏教や神道、民俗信仰と結びつき変化していった。




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遠藤周作 新潮文庫


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カンチの友の可愛いメリちゃん(推定8歳)が虹の橋を渡った。
メリちゃんは虐待を受け捨てられていた犬だったが、その後可愛がられ最後は安らかだった。
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ちょっと異質な、はじめてのゾンビ詩 勝嶋啓太詩集「今夜はいつもより星が多いみたいだ」より、「食慾と性慾」 [詩]

詩「食慾と性慾」 勝嶋啓太 (コールサック社)




ずっと好きだった女の子がいたのだが
ぼくは とっても 臆病者なので フラれるのが怖くて
好きです って言えないでいたら
彼女は やがて ぼくの友人と付き合いはじめ
ふたりは 結婚してしまった
ふたりの幸せそうな顔を見るとムカつくので
仮病を使って 結婚式には出なかったのだが
ぼくの気持ちを知らないふたりは
しきりに 家に遊びにおいでよ と誘ってくれる
仕方がないので 結婚祝いのプレゼントを持って
ふたりの新居を訪ねると

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彼女が ゾンビに なっていた


ぼくが訪ねた時には
友人は あらかた喰われてしまって 骨だけになっていたので
プレゼントを置いて さっさと帰ることにしたのだが
ゾンビというのは ひどく腹が空くものらしく
気がつくと 10メートルぐらい後ろを
彼女が ひもじそうな顔をして
ぼくの様子を窺いながら ずっとついてきている
ぼくが立ち止まって振り返ると
彼女は 怯えたように ビクッとして
オアズケを食らった犬のような情けない顔で
ぼくをじっと見て ヨダレを垂らした
その時 ぼくは 彼女を 抱きしめたいと思った


現在
彼女は 大分腐りかけてきているんだけど
ぼくの部屋の隅で
相変わらず ひもじそうな顔をして
じっと ぼくの様子を窺っている
彼女には ぼくは よっぽど美味しそうに見えるらしく
しょっちゅう ヨダレをダラダラと流している


今日
意を決して 抱きつこうとしたら
右足を 喰われた
多分 近い将来
ぼくも 友人のように あらかた喰われちまうんだろうけど
久しぶりに満腹になって
今 すやすやと 穏やかに寝息を立てている
腐りかけの彼女を見ていると
まあ それでもいいか
と思えてくるのである






★なぜか宇宙次元のファンタジー詩や聡明な生活詩を書く知性的な女性詩人たちから「面白いね」と言われ人気がある詩人の詩。
この「面白いね」はフランス料理や日本料理の通の人が、異次元の調味料を加えた 「たこ焼き」  否!「おいしい家庭料理」を食べた時の感想のように聞こえてしょうがない。
たいくつな  否!賢明な生活詩ばかりを書く良い人詩人が、人間の影の部分を書く詩人を陰でいたぶり、いじめるということは起こり得る。
実体験として枚挙にいとまがないくらいだ。
たとえは的確ではないかもしれないがその昔、映画の悪人役の役者が巷の人々から石を投げられたという話はよく聞く。
その点、勝嶋啓太氏の詩集と身柄はあたり口の可憐さ、情感の深さから安全だろうと思われる。
物語に光と影が必要不可欠な映画のたとえだとわかりやすい。
物語は、善悪と喜怒哀楽が絡み合って作られていると深みと陰影が出て滋味あふれるものになる。
イメージ写真・文 <ブログ主>





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その地を離れるやいなや20歳の女性が100歳の老婆に SF古典「失われた地平線」 [映画]

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ヒマラヤ山脈の西方の雪山に不時着した飛行機。

1931年戦乱の中国奥地バスクル(アフガニスタン)から脱出したイギリス外交官のロバート・コンウェイたち5人(本人、弟ジョージ、化石学者、詐欺師、娼婦)を乗せた飛行機は、ヒマラヤの雪山に不時着し、待ち構えていたかと思われるほど手際のよい人々によって、この世の桃源郷と言われる蝶が舞い、鳥が歌い、作物の豊富なシャングリラ(理想郷・桃源郷)に連れて行かれる。
美術品(絵画・彫刻)や調度品は文明社会から運ばれてきたものばかりで、図書館、グランドピアノもある。
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シャングリラ(理想郷・桃源郷)。霧が漂う調和に満ちた谷間。外界から隔絶された地上の楽園。
金鉱があるので物々交換をしている。

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シャングリラ。建物の内部での歓談

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ラマ僧 長老(カトリックのペロー神父・カプチン会)1734年、53歳でシャングリラに来たので年齢は250歳以上。

高山に守られたその地は、温暖の気候に恵まれ、長老(ベルギーからやってきたペロー神父)を中心に皆が長寿であり、2000人もの人が平和に暮らしていた。
長老は、コンウェイを後継者にするために、シャングリラへ導いたもようである。
コンウェイは不時着した全員でシャングリラを去る決意をするのだが・・・
弟ジョージは恋人マリアを連れて脱出するが、途中吹雪にあい、避難した雪山の窟でマリアがみるみるうちに老婆に変わってゆくのを見る。

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吹雪のシャングリラを脱出中のマリア

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老婆に変わったマリア


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ここより最後の内容に触れています
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イギリス外交官のロバート・コンウェイは困難な旅を経て、上海からイギリスに送還されることとなったが恋人の待つシャングリラへ引き返すのであった。

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イギリス外交官ロバート・コンウェイ(ロナルド・コールマン)
サンドラ(ジェーン・ワイアット)
「失われた地平線」1937年 134分 アメリカ
監督 フランク・キャプラ  脚本 ロバート・リスキン  原作 ジェームズ・ヒルトン

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「失われた地平線」1933年  2011年 河出書房新社
小説家 ジェームズ・ヒルトン (1900年~1954年)

その他の作品
「チップス先生さようなら」 1934
「心の旅路」(1941)
「忘れえぬ日々」(1945)
「めぐり来る時は再び」(1953)


1973年にリメイクされた映画『失われた地平線』もある


★映画「ブリガドーン」(迷い込んだ霧の中の長閑な村)と並んで映画「失われた地平線」は、日々埋没してゆくブログ主の桃源郷に対する郷愁と憧れの感覚を回復してくれる。
知識の上での現実対応だけでは過酷すぎて涙も出なくなる。

★最近見た劇場映画
「本能寺ホテル」「バイオハザード:ザ・ファイナル」「アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場」



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山の郵便配達 午前十時の映画祭 [映画]

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原作・小説「那山 那人 那狗」(あの山 あの人 あの犬)ポン・ヂエンミン作
1980年代初期、湖南省西部の山岳地域。
120キロもの山あり谷あり、川ありの山道を歩いて郵便を配達するベテランの郵便配達人だった父が膝を痛め仕事を引退することになり息子が後を引き継ぐことになった。
息子の初めての2泊3日の郵便配達に、父のお供をしていた犬(次男坊と言う名で呼ばれている)と一緒に父も同行する。
郵便配達人の仕事は、村民たちとの深い交流だった。
目の見えない一人暮らしのおばあさんを訪ね、孫から来ていない白紙の手紙を読み上げお金を渡す。
トン族の結婚式の祝宴にも加わる。


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犬(シェパード 名前は次男坊)
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どこかしら故郷と似ている風景を見るために出かけた映画だったが、物語も素晴らしかった。
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★正月早々インターネットとメールができなくなった。
プリンターも機能停止になった。サポーター氏に頼んで改善ができほっとしている。
★コメント欄は、お一人お一人に丁寧にご返事ができないので、余裕ができるまで閉じさせていただいている。
★皆様のそれぞれが素晴らしいブログにはゆっくりと出かけさせてください。



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詩「月の皿」(Lunatique) 二兎no7より 水野るり子 [詩]

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「月の皿」 水野るり子
  二兎7号《昼下がりのお客》より



手紙の封をして顔をあげると  そこは巻貝のようによ
じれた階段の途中だった 足もとから海の匂いが上って
くる 段々を降りていくと小さな扉があった のぞくと
色あせた本の山がくずれ落ちてくる 窓からさしこむ一
筋の月光のなかを埃が舞い 埃のひとつひとつが見知ら
ぬ城のように光っている


城は水に囲まれている 水の底に台所がかたむいている
包丁を研ぐ音が聞こえる 夜の料理人の刃先がするどく
光ってくる 調理台に横たえられているのは あれは・・・
魚だろうか それとも巨きな烏賊の一種だろうか・・・青と
灰色を巡る音階が 料理人の胸のなかを止むことなく流
ている 滅びた星々からの通信のように


どの皿にも神話が潜んでいる 一羽の鳥であれ 一匹の
魚であれ 一本の野の草であれ 料理人の研ぎ澄まされ
た刃先は 生きものたちが隠し持つ魂のものがたりを引
き出す(肉の一切れからは 引かれてゆく母牛を追って
哭いた幼い日の一刻を・・)(セリ属の一茎からは 野の
せせらぎに初めて触れた刹那のあの身ぶるいを・・)それ
らはどれも神の唄う ただ一回きりのものがたりだった


漂流する月の皿・・そのまわりに親族たちは集い 肉や魚
や野菜の幾片かをひとりひとりの皿に取り分ける(祖父
母たちや父母に倣って この私もまた・・)そして皿の上
でオリーブや調味料の匂いにまみれたもうひとつの神話
に浸る 食卓にのこされたのは鳥たちの脚だけだ その
魂はすでに声もなくどこかへ飛び去っている 宛名のな
い手紙となって

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<思いつくままの感想>
宇宙をさまよう種子をのせたシュールな皿  現実世界とつなっがっているけれど片端から消えてゆく影の世界  空いちめんの巨大な神々の食卓  どこかでつなっがっている二つのもの(一方はメルヘンの世界の蟻の巣をたどって、もう一方は消えた星々を追って)捕まえたと思ったら消えてしまう人間共通の原型   キリコの輪を回す少女の時間と足音  影の影に発生する渦  ちらばっってゆく針状の音





★最近見た劇場映画
「ブレア・ウイッチ」森の中の魔女伝説を追ってドキュメンタリー映画を作ろうとしていた仲間が次々に消息を絶つ 
「ファンタスティック ビーストと魔法使いの旅」魔法使いの青年が、魔法動物の救済を行う
「ローグ・ワン/スターウオーズ・ストーリー」敵対する2グループの戦い




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